茜ヶ久保マリネの若気の至り
「とったわ、海竜王」

激痛を堪えながら、私は海刀神を逆手に持ちかえる。

あとは躊躇いなど不要。

渾身の力を込め、背後のリヴァイアサンを貫く!

「がっ!」

リヴァイアサンが喀血する気配。

生温い吐血が、私の背中に吐きかけられる感触があった。

「おのれ…茜ヶ久保…マリネ…!」

ようやく頭角を引き抜いた時には深手。

リヴァイアサンは足元をもつれさせながら私との距離をとる。

「……っ」

私も同様だ。

呼吸が上がる。

意識が断ち切られそうになる。

ここが海竜王を討つ好機。

しかし私の体は、私の意思に逆らい始めていた。

大量の出血と肉体の損傷によって。

< 35 / 101 >

この作品をシェア

pagetop