貴方が好きなの
それから上田のことを少しだけ話して、他愛ない会話をした。
夕日は完全に沈んで、星が輝きはじめている。
家まで送ると、愛美はハグとありがとうの言葉を残して、中へ入っていった。
「さ、私も帰ろっと」
愛美の家とは正反対の位置にある自分の家に向かって歩きだす。
薄暗い中、しばらく歩くと中学校の明かりが小さく見えてきた。
「あれ、黒川?」
「中川……帰るの遅くない?」
街灯がないと誰か分からなかった。
帰る途中らしい中川がこちらに向かって歩いていた。
「黒川もだろ?つか、なんでこっちにいるんだ?」
「愛美を家まで送ってたの。」
「へぇ、こんな時間まで?真っ暗じゃん」
「語ってたの。中川こそこんな時間まで何してたの?」
「上田ん家にいた」