記憶 ―惑星の黙示録―


「――…っ!?」

私は唇を噛みしめて…、
彼の口から出る次の言葉を待つしかなかった。


どうして…?

もう、返せないの?
私があの世界に戻れないから?

リュウさんはなかなか口を開いてはくれなくて。

透ける体が震える。
胸はこんなに苦しいのに。

やっぱり…


「…私、死んじゃったんだ…」


だから、アランが迎えに来たんでしょ。
だから体が無いんでしょ。

だから…

世界の秘密を、
私に明かしたんでしょ…?


「…奈央…」

アランが呆然とする私の背中をそっと抱き締めてくれていた。

もう…
あの世界とはお別れなの…?

膿が、流れる。


「…未だ死んではいねぇよ。」

「…ぁ…」

…洗礼…?


「…コンちゃんはあの鈴を大分気に入ってたからな。今さら返して、なんて言えねぇだろう?」

そうよね…
あの鈴は、私たちの「約束」。

それを私の都合で取り上げるなんて、出来ない。


「…鈴は、事故の時に無くなった。それで良いんじゃないか?代わりにお前さんが助かった。その方が、愛里ちゃんだって嬉しいに決まってる…」

「…ぇ?」

私は足元の橙色の花から、視線をリュウさんへと移した。


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