記憶 ―惑星の黙示録―


そう言うリュウさんからは、大きな溜め息が漏れる。
アランはやっぱりおどけて見せて、ヘラヘラと笑っていた。


「洗礼を受けてから、大分経つ。次の世界への扉は待ってるってのに、このバカは進みゃしねぇんだ!」

そうアランを指差して私に説明してくれるリュウさんを、アランは止めていた。


「ちょっと?リュウ、バラさないでよ。カッコ付かないじゃん…」

そうアランは怒るリュウさんに笑顔を向けていたけれど、私はもう分かってしまっていた。

それは…
あの池で見た「心残り」から、なんだね?

それを、
リュウさんも知っているんだ。


「…ったく。扉が閉まっちまうまで、あとわずかの期限しかないってのに。奈央ちゃんを誘拐するわ、俺の名前を勝手に使うわ、風の道を切ってくれるわ…」

…ぁ…。
そういえば怒られるって…


「…ぁ、やっぱり誤魔化せてなかった?もう忘れてくれてるかな~なんて。」

「…しまいにゃ殴るぞ、ガキ…」

ふふふ…
何だかそのやり取りが可笑しくて、私は笑っていた。


「…でも、リュウさん。アランの困った行動、それも『運命のひとつ』なんでしょ?」

「………」


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