記憶 ―惑星の黙示録―
音も無く、
静かに…
闇夜の中で、七色に踊る街。
――…りん…
「……?」
聞こえないはずの音を、
聞いた気がした。
そう…
あの街の灯りは、
まるで心和む温かなクリスマスツリーの様で…
――…ちりんっ…
あの綺麗な鈴の音は、
まるでサンタクロースの…
――…ン、ワン…
街の上空で、
私の耳に届いたのは…
「……ぇ…?」
「――えぇ!?」
顔を見合わせた私たちは、二人で必死に街に目を凝らす。
七色の灯りに照らされて、
うっすらと黒く写し出される小さな影は…。
――ちり、ちりんっ…
…ワンッ、ワンワンッ!
ちょっと…
それって、『ワン』て…
「――…コンちゃん!?」
「…嘘だろっ!?なんで?」
二人は帰ったはず。
どうして、未だこの街に居るのよ!?
そう私たちは声を荒げていた。
小さな黒い影は灯りに照らされ元気に跳ね回り、その付近に目を凝らすと…、
「……ぇ?」
「え…、ハルカと…」
そこには、
仲良く手を繋いだ…、
決して若いとは言えない、
腰の曲がった「二つの影」…。