記憶 ―惑星の黙示録―


「…そろそろ河を越えるからー、あの街だ!」

「…でも、昼間だから…」

最後に…、
あの綺麗な街をもう一度見たかったな。

夜しか現れないという名もなき街に、残念で溜め息が漏れる。


ハルカちゃんとコンちゃん…
二人と出逢った街。

出逢うはずの無かった二人。
また、逢えるかな…?
また笑って友達になってくれるかしら。



河を越えて大地を見れば、
ぽっかりと空く、主の無い茶色い広大な土地。

…やっぱり無いよね…。


「…ん~、リュウが奈央の為に気をきかせて『夜』を駆けつけさせたり~なんて…」

それは、アランが諦めながらも可能性を口に出した途端の事。


――シュンッ…!

そう例の何かが空を横切って。
晴れ晴れとした青い空は、暗い闇夜へと色を変えた。


「……した、みたい。」

「リュウさんて…」

二度目とはいえ、私の目は状況の変化に追い付けなくて、瞳をパチクリさせながらアランと繋ぐ手に力を込める。


「…来るかな。」

暗くて見えない茶色の大地に、
白く光る霧の様なモヤが立ち込めて…

「…ぁ…」

その光は、
やがて七色の暖かな幻想的な灯りへと変化してゆく。


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