記憶 ―惑星の黙示録―


「絵美ちゃ~ん?」

絵美が同僚から呼ばれて、
ビクッと私たちは固まった。

職場だっていうのにドレスも選ばず、話してばかりいる事を…怒られる?と三人ともが感じたから。


「…お兄さん…じゃない、『新郎様』がお見えになりましたよ~」

そう言われて「なんだぁ」と私たちがホッと溜め息を漏らす中、


「悪い、愛里。遅くなって…」

そう部屋に登場したのは、スーツ姿の『新郎様』。


「あれ?日曜なのに仕事だったの?梓さん。」

「そうなんだよ、うちの研究所主催の学会があって、少し手伝いにね…」

荷物を置き、ネクタイをゆるめながら、梓さんは私に向けて説明した。


「ふぅん、学会ってさ…」

梓さんのその横に…
見知らぬ男性を発見した途端、

未だ何か聞こうとしていた私の口が閉ざされた。



――…ちりんっ…


そんな鈴の音が、
また聞こえた気がした。

この間の雨の日も、
確かこの音…



「ん?学会?植物の種の……って、奈央ちゃん?」

急に梓さんから興味が逸れて、私は愛里の隣で耳打ち。


「…梓さんの横、誰…?」

当たり前の様に、
この場に居るあの人は誰?


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