記憶 ―惑星の黙示録―
「…やっぱり、奈央はどう説明されてもコンを恐いみたいよ?」
リュウはそう言いながら、また子供らしくない笑いを漏らす。
「…そっかぁ。」
彼の言葉に残念そうにするハルカちゃん。
犬竜もまた、ブンブンと振っていた尻尾をピタリと止め、プイッとハルカちゃんの胸元へ飛んで行った。
心なしか、寂しそうで。
悪い事をしたかな…という気に少しなった。
ごめんね…?
心の中で、
ぽそりと謝ってみる。
意地っ張りの私は、
声に出す事は出来なかった。
私の思っている事が、
筒抜けの世界。
ハルカちゃんと犬竜にも、伝わるんだろうと思っていた。
なのに、
「…ごめんね、ってさ。」
リュウが、言葉に出した。
「――…!?」
…んな!?
わざわざ声に出さないでよ!
私はリュウを睨みながら、パクパクと声にならない焦りを彼にぶつける。
リュウは、
きょとんとして、
「…あぁ、ハルカとコンはこの世界の『洗礼』を受けていないから、声に出さなきゃ伝わらないよ?」
と言った。
……先に言っといて欲しい。
ハルカちゃんたちの様子が気になって、私は肩を落としながらも、ちらりと視線を送ってみる。