記憶 ―惑星の黙示録―
いぬりゅう、…ねぇ。
黒い小型の犬に、ドラゴンを合成すると、こんなかんじになるのかしら?
…なんて、
昔やった事のあるテレビゲームが、私の頭を過る。
それが目の前で動いているんだから驚きだ。
でも、
犬竜って言ったって、
動物は動物でしょ。
恐い事には変わりない。
意思が通じない相手は、嫌い。
「犬竜はね、その卵を孵した妖精の、パートナーなんだよ。あたしとコンは、通じ合ってるんだよ?」
ハルカちゃんは私にそう説明してくれた。
「それで、コンの言葉はあたしには通じるから…。コンはナオちゃんを噛まないよ?大丈夫だよ…?」
はぁ…、
そうなの?
そうゆう…もんなの?
――ワンッ!
ハッハッ…と変わらず息を漏らし、興奮気味に私を見上げる犬竜。
いつ飛び掛かって来るか分からない、そんな状況にやっぱり見えてしまう。
もう…
犬竜でも何でもいいから、
これ以上…、
近付かないでもらいたい。
私は、また一歩下がった。
やっぱ、恐い。
ハルカちゃんが、チラチラと心配そうにリュウを見ていた。
そんなハルカちゃんに答える様にして、リュウが逆さまのまま口を開く。