記憶 ―惑星の黙示録―
ふっ…と、穏やかになる風。
私はうつ向いたまま、自分の両手で乱れた髪を直す。
「…お兄ちゃん、たまに良い事言うんだよね~…」
『むぅ。たまになッ!』
再び自由になったコンちゃんもハルカちゃんに同調した。
「…はい、じゃあ皆さん。早く街から出ますよーっ?」
アランはわざとらしく、明るく振る舞っている様に見えた。
私は…、
唇を噛み締めたままだった。
屈辱は、屈辱だったけれど。
悲しくはないのに、
泣き出しそうだったのは…
…どうしてなんだろう。
胸はじりじりと焼ける様に苦しく、顔は熱い。
流れ出てしまいそうな涙を、
瞳の中に閉じ込めた。
アランにつかまれた肩が、
痛かった。
涙は…
『心の膿』だと、
誰かが言っていた…
私の膿は、
未だ表には出ていない。
人前で出しちゃ、いけない。