サクラミチ。
涼しい風が吹いている屋上。
2人の髪が揺れていた。

「おいっ、もうやめろよ!!」
「・・・」
「お願いだから、鈴夏を苦しめないでくれ。見たくないんだよ、苦しそうな鈴夏は…」
「・・・はぁ、日向があんながり勉とイチャイチャしてんのが悪いんでしょっ!!あたしが居たのに…」
「お前がほかの男に乗り換えたんだろ!俺とおまえは終わったんだよ。」
「・・・!!」

目を一瞬大きく開く、愛奈。

「今は、鈴夏が大事なんだ!!何よりも・・・。ゴメン、俺何度も謝るからさ!!」

何度も頭を下げながらも、日向の瞳は変わらずまっすぐだった。
そんな日向を見て愛奈は大きく息を吸う。

「・・・ハハハ。終わったかぁ、ほんとはずっと前からわかってたんだ。
 ・・・日向、変わったね。あたしの時とは全然違う…あたしを見ててくれなかった。
 ほんとにその子が好きなんだね。
 ・・・あたしは、全然平気だし、許してあげるぅ♡」

悲しげな顔がウインクに変わった。

「ほんとにもういいや、あたし、もう好きな人できたしぃ☆だから、そっちにあたし置いて!」

大人っぽい顔からかわいらしい笑顔が出る。でも、それは一瞬で、すぐに後ろを向いた。

「なんだよ、ソレ。」

―嘘つけ…。
平気なんかじゃねぇくせに。お前は、無理するときそうやって子供っぽく笑って、どっかむく。
泣きたいくせに・・・。
おまえはいつも強がって…

俺を頼らずに、消えるんだ。
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