サクラミチ。
「私は、なんでこんなに弱いの・・・。
さっき生まれ変わるって決めたのに。
そんなこともできない人が幸せになんてなれっこないよ」

自分が許せなくて、醜くて・・・

 ―空はあんなに広くて透き通っているのに、桜はあんなにきれいに咲き誇っているのに、川はいつも途切れず流れているのに・・・
私は、こんな小さいこともできないなんてー  

「それは違うんじゃない?
 空だってくもったり、ないたりおこったり。いつも笑っているわけじゃない。
 桜だって、あんなにきれいに咲いているけれど、いつかは枯れてしまう。
 だから、一生懸命花を咲かす。
 川だって、初めからあったわけじゃない。
 最初は、小さな水たまりだったかもしれない。
 あきらめたら、意味ない。頑張って、努力して幸せになるんじゃないの?
 最初から、完璧な人はいない。もう少し頑張ってみたら・・・」

そんな言葉が空、桜の木、川から聞こえた気がした。
その言葉が鈴夏に力をくれた。
それからその場所は鈴夏にとって特別な場所となっていった。
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