─Quality of love─
「……人間を恨んで死んでいったかもね。こんなに牙を剥きだしにしてる…」
ぽつり、と落ちてきた小さな声はどこへ向かったのだろう?
彼女は泥と血まみれになった黒のざらざらな体毛を優しく撫でた。
俺はそれを黙って見つめた。
彼女は躊躇することなく死骸を抱きしめた。
白のコートが血で染まる。
彼女の腕のなかでグニャリと曲がった黒猫は
雨のせいだろうか
泣いているようにみえた。