FLASH BACK
「よかったね。
 あれ、もらえるといいね」

肘で彼を小突くと、
なぜか彼は困惑した表情で
「そうだね」
と言った。
苦笑を含んだ声音。
あたしはそれを理解できずに
首を傾げた。

「なんでもないよ」
と彼は言った。

膝丈のスカートと、
第一ボタンを空けた学ラン。

地味な色遣いの制服に、
青空と桜だけが鮮やかだった。

いや、
それと、先輩たちの表情も華やかだった。

淋しくないのかな、と心の中で思ったけれど、
それを問うのは無粋な気がした。

だから、大きな声を張り上げた。
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