妹系男子。



スム「もうすぐ着きます」


進さんに言われて顔を上げた

進さんってこの辺りに住んでいるのかな



この道懐かしい

林さんを送った時に一度通ったっけ



リン「ここから俺の家まで来てたんすか」

スム「はい、まぁ隣町ですしね」


案外近いけど
ここに引っ越して来てまだ二年目だから基準がわからない



一度見た道を歩くのはこんなにも不自然

新鮮でも何でもないのに
何故か胸に違和感が芽生える



以前、隣にいたのは林さんでしたから



あの公園が見えた



――懐かしい


あの時の雲行きや雨音
跳ね返る水飛沫


二人の会話
二人の表情


あのはにかんだ笑顔とその訳


全部が全部、思い出



それらが詰まったこの公園



スム「あ、妹いました」

リン「彼女がですか」


ブランコに腰掛けた背中が見えた


「…あ、お兄ちゃん」


足音に気付いた彼女はこちらを見た



< 465 / 713 >

この作品をシェア

pagetop