プリンセスの条件

『スキ』

たった二文字のこの言葉を口にすることが、こんなにも難しいなんて知らなかった。


『マイね、ショータのことスキだよー』

なんて無邪気に言えてたあの頃に戻りたい……。


驚いた顔をした翔太にもう一度言った。


「しない。……もう翔太とキス」

「……」

「翔太があたしにキスする理由って……何?」

「え……」

「彼女……以外の人と、簡単にキス……しちゃダメじゃん」


笑顔を見せたはずなのに、

「マイ……」

ポロポロと涙が止まらなくなっていた。


困惑した翔太の顔が、迷惑をかけているんだという事実が、よけいに感情を暴走させる。


「ごめ……ッ」


『ごめん』と言う前に、翔太に唇を塞がれた。


優しいキス。

さっきの激しいキスとは違う。


彼女以外の女にキスしちゃダメって言ったのに……


「バカ……」


あたしはそれを、受け入れてしまったんだ。


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