プリンセスの条件
マイはその後もいろんな男と短い恋を続けた。
新しい恋を見つけては、
『翔太ぁ!今度はぜったい大丈夫な気がする!!』
と騒ぎ立てて、聞きたくもない他の男の話を耳元でする。
『うっせーなぁ。興味ねーよ、お前の男のことなんて』
『何よその言い草!幼なじみなんだから、ちょっと聞いてくれたっていいじゃない!』
『お前のちょっとは、いつも“ちょっと”じゃないだろ』
そう溜め息をはくと、マイは真っ赤な風船のように顔を膨らませて怒った。
『翔太なんか大ッ嫌い!!』
いつだってこの繰り返し。
好きなのに『好き』だと言葉にできないのは、最初からマイの眼中に“男として”のオレはいないから。
それならせめて幼なじみとして、マイにとってその他大勢の男の一人なんかじゃなく、特別なポジションにいる自分を守りたかったんだ。
だけど、どんどんキレイになるマイを隣で黙って見続けることは、オレにとってはものすごい拷問に等しかった。