ホタル


脱衣場に入ってドアを閉め、そのままへたり込むようにその場に座った。

まだ、心臓がうるさい。

…絶対裕太、変に思った。

手を繋いだことだってあるのに、今更あんなことで動揺するなんて意識している証拠だ。

裕太は二人きりのこの状況を、冷静に捉えてるのに。

それが何だか無性に恥ずかしい。

「…もぅ、バカ、」

はぁっと大きく溜め息をついて、あたしはいそいそと服を脱ぎ始めた。

お風呂に入って冷静になろう。
理性を取り戻すために、久しぶりにあの言葉を脳裏に過らせた。



あたしと裕太は、姉弟なんだから。









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