ホタル



……………

その夜、あたしは裕太に全てを捧げた。

身体も、心も、爪の先から汗の一滴まで、全てあなたにあげるから。


「…朱音」


呼んで。
もっと長く、もっと強くあたしの名前を呼んで。

二度と離れたくない。
二度と離したくない。


何を引き換えにしても、あたしは裕太の側にいたい。

裕太さえいれば、他には何もいらない。


月明かりさえない夜に、あたしの全身で願った。











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