ホタル
......洗面所に向かいながら、昨日の行動を後悔していた。
裕太は昨日午前で学校が終わってる。昼間外にいたあたしを見かけたのかもしれない。
何を見られただろう。どこを見られただろう。
そんな事を考えながらも、目に焼き付いていたのはあの赤い印だった。
マフラーを巻いている時に気付いた。
裕太の首元の赤いマーク。
「......決定的じゃん」
昨日の甘い香りが蘇った気がして、ふいに気分が悪くなる。
あたしは思ってた。
裕太をあたしのこの想いから解放してあげたいって、ずっと思ってた。
でもそんなの思い上がりに過ぎなかった。
裕太を縛り付けてるものなんてはなからなかった。
縛り付けられているのはあたしだけだった。
あたしが心配しなくても、裕太はちゃんと恋をして、幸せになってる。
誰かを、好きになってる。
呪われてるのは、あたしだけ。