幸せの条件
 相手の両親が笑った。

一気に場が和んだ。

 30分後、双方の両親が退室し、室内が静かになる。

「いいお天気ですね。」

私は、ポツリと言った。

男が顔を上げ、すりガラスから射し込む太陽の光に目を細める。

「友馬さんはお休みの日ってなにをしてます?」

友馬は、私をチラッと私を見ただけでお茶を飲んでいる。

「お仕事、大変なんでしょうね。」

私が笑顔で言うと友馬が大笑いした。

「バカにするな。ただのOLに何が分かる。」

暫く沈黙が続く。

静寂を破ったのは友馬の言葉だった。

「俺は最初からこの見合いに乗り気じゃなかった。相手が誰であってもな。今日は両親の為だ。」

友馬の鋭い瞳が私の心を射貫く。
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