幸せの条件
 食事を済ませた私と友馬は、海を目指した。

9月だというのに海は混んでいた。

砂浜の端の方を友馬が指差す。

「私、今日が今年はじめての海なの。」

私は、人も人の目もない日陰に座った。

「泳ぎてぇ~。」

友馬が大きく伸びをする。

私は、クスクス笑った。

「海、好きなんだね。私は嫌いだわ。」

海を見つめ、波の音を聞いてるうちに私は、いろいろなことを思い出していた。

友馬が急に黙り込んだ私の方を向く。

私は、慌てて帽子を目深に被り直した。

「あんたは?暇な時はよくなにしてる?」

「ショッピングや友達と食事会よ。友馬さんは?」

「ジム、登山、ダイビング、サイクリング。」

「・・・アウトドア派なのね。」

「太陽の光を浴びなきゃ死んじまう。」

「大げさよ。」

「そんなことない。」

顔を上げた私と笑う友馬の目が合った。

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