幸せの条件
 「・・・お帰りなさいませ、お嬢様。」

家政婦が三つ指をついて2人を出迎える。

 「ただいま。」

居間の戸を姉が開ける。

父が居間のソファに深く座っている姿が見えた。

すごく不機嫌だ。

「さくら・・・おまえはまったく・・・。」

父が立ち上がり、私に近付いてくる。

「顔を上げろ!」

私は、下を向いたまま父から目線をそらす。

「顔を上げろ!と言っているんだ!!」

「お父さん!」

間に入ろうとした姉が父に突き飛ばされる。

父は、私の髪の毛を掴み、思い切り後ろに倒した。

あまりの勢いに私は、よろめく。

「マンションは解約する。3日以内に引っ越してこい!」

それだけ言うと父は、居間から出ていった。

私は、下唇を噛み締める。
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