幸せの条件
 薫と小百合から食事の誘いを受けたが、直之がやんわり断った。

私は、今日も真っすぐマンションに帰る。

玄関のドアに鍵を掛けるのが恐怖だ。

このまま2度と出られなくなって一生ここに閉じ込められる気がする。

夕食は会話もなく、早々に終わった。

直之がお風呂に入ったのを確認し、こっそり実家に電話する。

「話があるの。近いうちに行くわ。」

一方的に小声で言い、すぐに切った。

この後、今日は暴力を振られることはなかった。

しかし、私は、悪夢をみるようになっていた。
< 84 / 202 >

この作品をシェア

pagetop