幸せの条件
 ノースリーブのシャツから出た私の両腕の痣を見た家族が息を飲む。

「こんなになるまでケンカする?夫婦なのよ?大人なんだから口で言えば分かるわよ。」

「さくらちゃん、本当に本当に直之さんなの?」

「そうよ。」

私は、バックから3冊のノートを取り出し、テーブルに置いた。

「暴力を振るわれた日と時間、痣になったところとかの写真も。それから・・・。」

女探偵から渡されたものも全て広げた。

「直之さん、浮気してたの。」

「そんな・・・。」

母が絶句する。

「合コンなんかで結婚相手を選ぶからよ。」

姉が呆れた顔をする。

「ゆりちゃん!!」

「いいの、お母さん。お姉ちゃんの言う通りよ。」

「あら、今回は素直に認めるのね。」

「・・・うん。私の負け。負けよ。」

なにも言わず、パラパラと証拠品を見ていた父が突然、立ち上がる。

電話の受話器を手にし、誰かに掛けたようだ。
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