ずっと前から愛してる






女は水の出ている蛇口を閉め
ポケットから取り出したハンカチで
俺の傷口を押さえた



「痛いかもだけど
ちょっと我慢してね」


「…あ、ああ…」



数回、ぽんぽんと水をふき取るように
ハンカチで押さえると
俺の腕を掴んで歩き出した




「…どこ行くんだよ?」


「ん?保健室。あそこなら消毒とかできるし」



当たりまえのように言うけど
もう授業始まるぞ?

いいのか、こいつ?




「あ、授業のことなら気にしないで
先に先生に言って許可貰ったから」


「…んで、わかんだよ」



俺は考えてることが
見透かされているようで
女から目をそらした



「え、だって顔に書いてあるもん。」


「は?」


「心配してます、って顔に書いてあるもん」


「…なに言って…」


「優しいんだね、修二くん」



ふわりと、優しく笑った女

名前も知らない女なのに
俺は一瞬で恋に堕ちた






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