ラヴレター(仮)

ファーストライヴ

手持ち無沙汰なため、たいした意志もなく手元の雑誌をめくる。
新譜からアーティストのインタビューまで、もう何度も目を通した。

そして、いつものところで手が止まる。
1ページにも満たない、小さな小さな記事に何度も目を通す。

「あ、Kishっすかー?」

「来たかガキんちょ」

ガキんちょ言うな、とそれぞれがつぶやく。3人の男子高校生、ギターを背負ってブレザーの制服を着崩している。見慣れた制服、数年前には彼らも着ていたことをガキんちょは知ってるんだろうか。

名前を書いて、カウンターの中を身を乗り出して覗き込む。

「そーいや、Kishって地元らしいけど、おねーさん知ってる?」

「知ってるもなにも、」

幼なじみだし、本当はそう続けようと思った。
けれど、顔上げて彼らと目が合うとその考えは変わった。

「ウチで練習してたし」

君たちと一緒だねぇ、と。




城東高校には吹奏楽部はあっても軽音学部はなかった。ゆえに防音された教室があるはずもない。
スピーカーはもちろん、アンプさえもない学校で練習できるわけもなく、音楽スタジオを経営する幼なじみに無理言って入り浸るのは当然の流れだった。


「まぢかよー」

「最近、チケ全然とれねぇんだよなぁ」

Kishへの憧れを惜し気もなく口々に上らせる。
一平も出世したもんだなぁ、と話を聞きながら思う。
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