君は変人
「ねえ、桜。
今日はさ、久しぶりに4人で帰ろうよ」


玲菜が笑顔で話しかけた。

隣で俺は、桜の返答に息をのむ。

何だかんだ言って、俺も4人で帰るのは好きなのである。


1番最近4人で帰ったのは、もう3週間も前のことだろうか。

桜と浅川は、部活で3年の引退も近いから、忙しいらしく、4人全員が揃うことは本当に珍しいことになっていた。


「俺は、いいけど。
でも、百合は大丈夫なのか?」

「ああ、浅川にはもう確認済みだ。
日曜も練習があったから、今日は振替で休みらしい」

「で、百合は?」

「あれ~?
そう言えば、6限から見てないよね」


こういうことは、今まで度々あった。

何をしているのか聞いても、曖昧にはぐらかすだけで、俺たちにとって謎だった。


だけど、そうこうしているうちに、浅川はひょっこり現れるものだから、びっくりなのだ。


だが、今回は少し違った。

いつまでたっても、浅川は現れない。

事前に連絡したので、浅川の性格上それを破ることはあり得ない。

突然のことでない限り、一言言っていくはずだ。


つまり、浅川の身に何かあったのではなかろうか。


「百合を探しに行かないか。
鞄もあるし、必ず校内にいるはずだ」

桜も同じことを考えていたようだ。

玲菜はオーと右手を上げ、桜も気合十分だった。


が、その気合いとは裏腹に、案外簡単に浅川は見つかってしまったのだ。



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