【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


親は…いない。



私は“あそこ”で育った。




相模芸能事務所。




私の育った場所はあの事務所。
今も私が通う芸能事務所。




つまりは私は拾われた身。
社長に、ね。



難しい事は覚えていない。
まだ幼かった私が知ってるのは、私を救ってくれたのが社長だって事だけ。



それだけ。



…ただ、それだけ。
他はいらない。



社長の娘のガミさんはその時から私のお姉さん的存在。



私が甘えられる存在。


だから私がどんなに馬車馬の如く働かされようが、年齢詐称しなくちゃいけなかろうが、嫌悪感は感じない。



寧ろ感謝しているくらい。



このマンションを用意してくれたのも社長。



…だから、これはいわゆる恩返し。



この顔だからこその恩返し。



この顔は嫌いだけど、そこだけは唯一感謝してもいいかな。


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