【僕らの撃退大作戦】
ふとロビーを見ると、なにやら弁当屋の女性とユリカが話していた。
両替を返すだけならそんなに時間はかからない筈で、しかし何か世間話をしているという風でもない。
ユリカは首を傾げているし、女性は困ったように何かを懸命に伝えようとしている。
──はて。
預金関係や諸届については、ユリカの専門分野であるから、違うだろうし。
融資の話も消費者ローンくらいなら、ユリカで十分対応出来る筈。
しかしユリカは何事も額面通りに受け取ることが多く、もしかしたらそのせいで話が迷子になっているのか。
それとも、たどたどしい日本語の女性の言っている意味がわからず、往生しているのか。
弱りきった弁当屋の女性が、チラチラとタジマに視線を送っている。
ユリカじゃ埒が開かないと思っての所作なのか。