【僕らの撃退大作戦】


ユリカたちにも、弁当を見なかったかと尋ねたが、知りませんと一蹴されてしまっていた。


それらは冷たい言い方ではなかったけれど、空腹なタジマにとっては、ほんの少しだけ惨めな気持ちにさせるものだった。


冗談で「さては誰かが盗んだな?」と言ってみたタジマだったが、ユリカたちの反応は薄く、そのことが彼を更にうなだれさせた。


弁当の行方が気になりつつも、繁忙さにそれ以上捜索することが出来ず、今に至る。


忙しさがあったときには脳の隅っこに押しやられていたけれど、弁当屋の女性を見たことで、もやもやと気になる気持ちが湧き上がっていた。


女性がこちらを見ていたのも、もしかしたら自分がチラチラと目をやってしまっていたからかもしれない、とタジマは思った。


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