【僕らの撃退大作戦】
それにしても、ここからユリカは背中しか見えないが、
動きが止まっているように感じ、タカヤは不思議に思った。
そこで女性の口元を見ると、日本語が苦手という自分をよく知ってるようで、少しでもききとりやすくと思っているんだろう。
彼女はゆっくりと一文字一文字、口をパクパクと動かしている。
もっとも、それでも読唇術を身につけているタカヤではないから『おあえ うああい』という母音くらいしか、想像出来なかったが。
すると突然女性が、こちらを力強く指さしたのが見えた。
──なんだろう。
女性の指さしている延長に見当たるのは、タカヤからざっと見る限り、
タジマ次長と、男性と、金庫室。
もしかして男性の知り合いなのかとも考えたが、男性のほうにはそんな素振りが全くない。
タカヤは首を捻った。