濡れた体温ごと奪って
「…お母さん…私、もういつまでも子供じゃないんだし自立するから…」
「…紗耶。やっぱり…三人で暮らすのは…嫌よね……」
「…ごめんね。お母さんの気持ちは嬉しいけど……ごめんなさい…」
「お母さんこそ…ごめんね……私、酷い母親よね……ごめんなさい…」
「そんな事ないよ。お母さんは酷くない。私、ちょっと出かけて来るね」
今にも泣きそうなお母さんを一人残し部屋を出て行く宛てもなく、ただただ歩き続けた。