濡れた体温ごと奪って
「…私の事なんて…放っておいてくれたらいいのに…」
「…野郎の下心も見抜けねぇ癖に何言ってんだ」
「ち、違うよっ。さっきの人は私が濡れてたから親切にっ」
「親切なら何故、俺が声かけた時お前を引き渡さなかった?」
「…それは」
「どう見ても、やべぇっつー顔してただろ」
「…それは…翔ちゃんの勝手な思い込みかもしれないよ…」
「…お前は相変わらず見る目ねぇな」
翔ちゃんは鼻で笑いながら歩き続けていっこうに私を下ろす気配がない。
翔ちゃん…風邪引いちゃうよ。