濡れた体温ごと奪って


「翔ちゃん。叩かれなかったんだね。よかったね」




俺から体を離すと悪戯な笑みを浮かべながら見上げるお前。


照れ隠しから抱きしめていた体を離したのか…それとも、体の事気にしてか…。


…どっちだろうか。




「…翔ちゃん?」




名前を呼ぶ紗耶の言葉でハッとなった。


…悪い…今、眉間にシワを寄せてたな俺…。




「よし、紗耶。寝るぞ」




俺は力任せに紗耶を姫抱っこし、寝室へと向かった。


お前の傷は、俺が想像してるよりもずっと、深いのかもしれねぇな…。



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