ティーン・ザ・ロック

夜風






急ぐ、急ぐ。


足音を立てない様に


息遣いも消して。



真っ暗な廊下を走り抜け、手に持っていた靴を履き、外に出た。



背中を押す様に風が吹く。



急げ、急げ。




早く彼に会いたい。







「……逢坂さん」


「………ん…」




足音で気付いたのだろう。


振り向きながらあたしの名を呼んだ。



「……見つからなかった?」


「…大丈夫だよ。先生には見つかってない」


「……ここ、座って…」



彼は自分の座っている場所の隣を叩いた。


ふかふかの芝生が何とも気持ちよさそうだ。



言われた場所よりも少し離れた場所に腰を下ろす。まるで壁があるみたいに、これ以上は近寄れない。



胸が、心地よいリズムを刻む。



時々、締め付けられる様に苦しくなるのも、きっと恋をしているせいなんだろうな…。



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