ティーン・ザ・ロック




「…あたし、ナルシストになったつもりは無いんだけど……」


「……そういう事じゃないんだけど、まぁ、良いか」



「え!良くない!あたしは全っ然良くないよ!!」



ぎゃあぎゃあと一方的に責めるあたしに、通りかかった看護師さんが『静かにして下さい!』と叫んで去って行った。



「「…すみません」」



二人、声が重なる。


でも、もう看護師さんには聞こえていなくて。




二人で笑った。







「…ね、悠馬も話そう」



中々戻ってこない叔父さん達や優さんが居ない事を良い事に、ちゃっかり手なんか繋いでしまうあたし達。


その“繋がってる”感覚が、話を切り出すきっかけになった。



「話そう、悠馬のご両親と。


…あたしの方はうまく行き過ぎてるだけかもしれないけど…。悠馬の方がもっともっと勇気がいる事だって分かってるけど…。


でも、これを逃したら多分、一生話せないんじゃないの?



きっかけって、本当に大事だから…」




何も無い所から自分一人で踏みだすのって、本当に勇気がいる。


でも…誰かに背中を押してもらえたら。


最初の一歩がより簡単になるから。あたしはそれを知っているから。



「あたしが、ずっと側に居る。…義務感からじゃない。

ただ、あたしがそうしたいから。


何があってもあたしがキミを守るよ。だから、ほんのちょっとだけ、勇気…出してみない?」




< 289 / 337 >

この作品をシェア

pagetop