ティーン・ザ・ロック

誕生日











「ただいまーー!!」



玄関から、明るく元気な声が響き渡った。



「おかあさーーん!どこー?

お兄ちゃんは帰って来たーー?」



誰の姿も見えないのに、誰かに話しかけている様子が、何とも可愛い。


キッチンで話しこんでいたあたし達は、笑いながら腰を上げた。





「おかーさーん?」


「風馬、ここよ」



「おかあさん!ねぇ、おにいちゃんは帰って来たの?」


「ええ、今上でパパとお話しているわ。それより風馬、ご挨拶は?」




悠子さんに言われてきょとんとこちらを向いた風馬君。でも、すぐに先程の笑顔をあたしに向けてくれた。



「初めまして!ぼく、風馬です!!」


「初めましてー!元気が良いね、風馬君」



頭を撫で撫でしてあげたのだが、不満そうな顔で悠子さんの方に駆け寄って行ってしまう。


「おかあさん。あのおねぇちゃん、お名前言わないね!悪い子だね!」



「……そうねぇ。お母さんも最初はそう思ってたの」



「ああああ……!!」



流石は親子!しっかりしてらっしゃる……!!



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