ハルジオン。
画面を着信履歴に切り替える。

そこには、

"やっくん"

の文字が浮かんでいた。


「話があるんだ」

靖之から電話でそう告げられたのは、久しぶりに家族との朝食を終えた今朝八時過ぎのことだった。

「話って?」

「いや、電話じゃちょっと」

「なあに?」

子機を手に二階に上がり、バッグから切符を取り出す。

百合子は今、少し離れた街の雑貨屋で働いていて、今日の昼過ぎの特急に乗って帰るつもりだった。

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