
- 作品番号
- 444101
- 最終更新
- 2022/04/20
- 総文字数
- 80,423
- ページ数
- 339ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 72,380
- いいね数
- 4
- ランクイン履歴
-
青春・友情22位(2011/10/03)
『ハルジオン』
威張るでもなく、太陽に沿って真っ直ぐに背を伸ばすその白い花を見つけるたびに、私は、大好きだった人を思い出す。
* * * * * * *
達也×靖之×百合子
大人になって、離ればなれになった幼なじみの三人。
彼らを再び引き合わせたのは、八年前に交した小さな約束だった。
* * * * * * *
この作品のレビュー
四歳で母を亡くした達也。 父と二人の生活は次第に荒んでいき、貧しい身なりのために酷いいじめを受けた。 救いとなってくれたのは、同い年の百合子と靖之。 けれど、子ども時代のささやかな平穏は、達也がその町を離れた十八歳の日に、完全に幕を閉じた。 二十歳になり、再会した達也と百合子と靖之。 達也は「蛍の森」に迷い込み、どこか自分と似た少年・アキトとともに、願いを叶えるため彷徨い歩く。 一方、達也への罪の意識に苛まれ、男からの依存を引き受けてしまう百合子もまた、追い詰められていた。 アキトの正体、達也の父が遺した思い、母の思い出、祖父母の後悔。 さまざまな人々の心に触れた達也が少しずつ前を向いていく様子が、痛々しくも力強く、胸を打ちます。 また、田園風景の描写はとても美しく、色鮮やかでノスタルジック。 切なくも希望のあるラストは躍動的で、映画を観ているかのようでした。
四歳で母を亡くした達也。
父と二人の生活は次第に荒んでいき、貧しい身なりのために酷いいじめを受けた。
救いとなってくれたのは、同い年の百合子と靖之。
けれど、子ども時代のささやかな平穏は、達也がその町を離れた十八歳の日に、完全に幕を閉じた。
二十歳になり、再会した達也と百合子と靖之。
達也は「蛍の森」に迷い込み、どこか自分と似た少年・アキトとともに、願いを叶えるため彷徨い歩く。
一方、達也への罪の意識に苛まれ、男からの依存を引き受けてしまう百合子もまた、追い詰められていた。
アキトの正体、達也の父が遺した思い、母の思い出、祖父母の後悔。
さまざまな人々の心に触れた達也が少しずつ前を向いていく様子が、痛々しくも力強く、胸を打ちます。
また、田園風景の描写はとても美しく、色鮮やかでノスタルジック。
切なくも希望のあるラストは躍動的で、映画を観ているかのようでした。
大人になって離れてしまった幼馴染みの
達也と靖之と百合子。
それぞれの想いと優しさ、
迷い込んだ『螢の森』での不思議な体験、
柔らかで懐かしい風景……
確かな文章力と巧みで細やかな描写が
絡み合った糸をゆっくりと解していく。
多彩な登場人物たちと
力強く息づく小さな花の姿が
まるでシンクロするような
人の絆と温もりに溢れた物語。
是非、読んで感じてみてください。
目をつぶれば浮かび上がってくるような情景描写。 練りこまれた構成。 そして、魅力溢れる登場人物たち。 幼馴染の三人が、久しぶりに出会ったことから織り成される、少し不思議なお話に、読み始めたらすぐに引き込まれてしまいます。 それぞれが、それぞれのことを想っている。 だから、勇気を持って「いいよ」って言ってみてください。 それは、素敵な魔法の言葉だから。 きっと、それで誰かの笑顔に出会えるはずだから……。
目をつぶれば浮かび上がってくるような情景描写。
練りこまれた構成。
そして、魅力溢れる登場人物たち。
幼馴染の三人が、久しぶりに出会ったことから織り成される、少し不思議なお話に、読み始めたらすぐに引き込まれてしまいます。
それぞれが、それぞれのことを想っている。
だから、勇気を持って「いいよ」って言ってみてください。
それは、素敵な魔法の言葉だから。
きっと、それで誰かの笑顔に出会えるはずだから……。
この作品の感想ノート
つづりさんこんばんは。掌編小説を書こうと思いつつまだ書けなくて、仕事の合間に誰かの作品を読みに行こうと立ち寄ってみたら、こんな素敵な感想を頂いていました。感謝です。
実はこの作品、もとは掌編として書いた1000文字小説なんです。バンプの車輪の唄を聴きながら書いた最後の列車のシーンや、タイムカプセルのシーン、達也の母・逸子が幼い達也を連れて遠野の寺に出かける夕焼けのシーン、それに、達也の父・篤史が達也を遠野の祖父母に預けに行った時のシーン、これら4つの掌編を書いたときに、僕の中でこれらがひと繋ぎの小説になってできあがったんです。懐かしいなあ。
達也も、靖之も、百合子も、アキトも、逸子も、篤史も、達也の祖父母も、この作品に登場する人物はみな何かを抱えて苦しんでいます。こんな自分が嫌で、変わりたいと思っていても自分一人じゃどうしようもなくて、なのに誰にも助けを求められない。プライドがある。弱さを見せたくない。でも本当は助けて欲しい。しんどい。辛い。生きていたい。彼らの人物像を掘り下げようとすればするほど、彼らの色んな声や悲鳴が聞こえてくるようでした。一人一人に手をさしのべたかった。生きることがどれほど尊いことかを僕が生み出した登場人物みんなに伝えたかった。そんな思いでできあがった作品なんです。だから、登場人物には必ず「拠り所」となる人物が登場します。逸子に声をかけた住職のように。
ちなみに愛染屈、多紀連山といった名称は僕の実家・丹波篠山に実在する場所で、大昔に朝の連ドラの舞台にも使われました。螢の森はまさにあの懐かしい森をイメージして書いたものです。sれから、僕も本気で本にして映画化して欲しいのでスタ文大賞に応募してみましたが力不足でした。これからも頑張って書き続けたいと思います。
追伸。
百合子の誕生日は僕が高校時代に付き合っていた彼女の誕生日です。笑
こんばんは。涙が止まりません。
以前ブログで楓さんがこちらの作品のお話をしていたのと、タイトルがずっと気になっていたので少しずつ読んでいこうと思っていたのですが……はい、一気読みでした。読み終えて直ぐなのでもう涙が止まらないですよ。鼻水じゅるじゅるです。
キーワードに色々と載っていたので、覚悟して読んだんですけど、思った以上に辛いお話で、達也と共感出来る点もあり、辛すぎて最初は読みきれないかも……と思いましたが、最後まで読んで良かったです。本当に良かったです。上手く言い表せないんですけど、全部が繋がった時、滝のようにぶわぁあでした。
どんな人だってそれぞれ何かしら抱えているものなんですよね。自分より辛い経験をしてる人って世界中の何処にでも沢山居るんだけど、幼い頃って自分の事ばっかで、幼いからこそ、それはとても重大な事で、見えたものしか解んないし、見えても解んない時だってあるから沢山躓いてしまいますし、周りが見えなくなる事だってありますし、臆病になる事だって多々ありますよね。現実逃避とかも。大人になって初めて解る事も沢山ありますよね。でも大人になってから更に潰れて往く人もいるんですよね。大人になりきれていない大人が多いんですよね。皆傷だらけなんですよね。失うモノも沢山ありますけど、それでも人は生きて往くんですよね。
私はまだまだ子供だなって思います。未だに何か言った後に、今の言葉は可笑しかったんじゃないかって後悔して、反省する事もあるので(*_*)だからもっと変わらなきゃいけないなって、作品を通して思い知らされました(笑)
螢の森のシーンがめちゃくちゃ好きです。
兎に角、最高のハッピーエンドで良かったです。心がじんじんしてます。
色んな人に読んで頂きたいんですけども、どう書いたら良いか文章が全く纏まらないので感想ノートに書かせて頂きました。
もう本出して映画化して欲しいです。
素敵な作品を読めて幸せです。ありがとう御座いました(^^)
追伸、偶然ながら私は百合子と同じ誕生日です(笑)ではでは失礼致します♪
英 蝶眠さん初めまして。読んでくださりありがとうございます!プロフを見て好きな作家様の中に永井さんを見つけ、ああ、なるほどー!と勝手に納得してしまいました。永井さんの作品は僕も好きです。少し似ているとさえ厚かましくも考えています。
この作品は野いちごの方でオススメ作品にピックアップして頂いたことがあるのですが、見事に読んでもらえませんでした。まあ、この作品に限らずどれも読んでもらえないんですけどね。あははー
それでもこうして読んで頂ける人がいて、とても嬉しいコメントをもらえて、本当に幸せです。ありがとうございます。もう少しもがいてみようかなって思えました。ありがとうございました!
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