ハルジオン。
「イデデデデッ!……お前コラ、髪の毛を引っ張んじゃねーよ!」

「うるさい!だったらもうちょっとゆっくり立て!バカ!」

二人はギャーギャー騒ぎながら、何とかご神木の最初の枝に取りついた。

「よし、次行くぞ」

「……うん」

答えるアキトの腰がふらついている。

「何だそのへっぴり腰は?」

「うるさい!」

ニヤつく達也を睨みつけ、アキトが怖々と大木の幹に足をかける。

達也が頭上にある二本目の枝を掴み、軽々と登って見せると、アキトも負けじとしがみついた。

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