ハルジオン。
「そおかな?少しは変わったつもりだったんだけどな」

百合子は青色のチュニックにレギンスという自分の服装を見回しながら、「残念」と言ってとぼけてみせた。

「いや、変わんない」

達也はもう一度呟くと、視線を地面に落とした。

心配そうに見つめる百合子の瞳。

その瞳に映る自分の姿が、あの時からずっと、達也は何より嫌いだった。

『もぐら』

といつか誰かが言った。

そう、僕は穴の中のもぐらだ……

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