ハルジオン。
「意外と小さいんだな」

その視線から逃れるように、達也は靖之に向かって話しかけた。

「そうだね」

靖之は土がかぶったままの四角い物体を掘り起こし、用意していたタオルでごしごしと表面を吹いてからそれを地面に置いた。

それは、ほんの三十センチ四方ほどのアルミ缶だった。

すっかり錆び付いて変色してしまっているが、僅かに蓋に「あられ」の文字が見えた。

「誰が開ける?」

八年ぶりに外気を吸ったタイムカプセルを前に、靖之が一同を見回した。

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