剣と日輪
 の学生を看視(かんし)していたのだった。
「一人の落伍者も出さない」
 という強直な信愛があった。
「強将の下に弱兵無し」
 それが公威の自訓(じくん)なのである。
「明日も又頑張ろう」
 公威が学生達を激励すると、全員、
「はい」
 と小気味よく応じた。必勝は堅固な、
「祖国防衛隊」
 隊員達の連帯感に、
「日学同」
 とは比肩(ひけん)できない、
「大人」
 の有志達といった印象を受けた。
「祖国防衛隊」
 と、
「日学同」
 では、プロとアマチュア程の深差があるように感ぜられ、
(どうしてだろう)
 と寝床で黙想してみた。
 中身は同じ学生である。なのにこうも大差がついているのは、リーダーの差だとしか思えない。
(大作家の三島由紀夫と大学生の斉藤さんとでは、土台比較にならん。何故俺は持丸さん達に従わなかったのだろう)
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