剣と日輪
「十一月か」
 必勝も小川も小賀も、
(俺の命も後五ヶ月か)
 と死の宣告を受けた気がした。
 けれどもこの日、
「最終計画」
 は確定しなかった。重大事なので、
「もっと煮詰めてから」
 と皆の意見が一致したからだった。
 次の作戦会議は六月二十一日日曜日、駿河台山の上ホテル二○六号室で行われた。公威は開口一番、
「朗報だぞ」
 と三人の肩を叩いた。
「自衛隊市ヶ谷駐とん地内にあるヘリポートを、楯の会の体育訓練場所として借用できることになった」
「おお」
 三隊員はどよめいた。
「最終計画」
 が始動したのだ。輝煥(きかん)に一室が照らされた。
「喜ぶのは未だ早い」
 公威は三人に告げた。
「私はヘリポート借用の際、実際市ヶ谷駐とん地内を見て回った。残念なことにヘリポートから総監室までは遠い。いざという時には間に合わない距離だ」
「じゃあ、何にもならないじゃないですか」
 小賀が脹(ふく)れた。
「うん。そうだな」
< 331 / 444 >

この作品をシェア

pagetop