剣と日輪
暁の寺編帰省
 六月十三日土曜日赤坂にあるホテルニューオークラ八二一号室には、公威、必勝、小賀、小川の四名が集い、
「決起計画」
 を談じていた。
 公威は、
「自衛隊は駄目だ。百パーセント参加しない」
 と断じた。必勝達は落胆せざるを得ない。公威は沈みかけた隊員達に、間髪をいれず発案をした。
「これは私案だが、自衛隊の弾薬庫を奪い爆発を予告するか、東部方面総監を人質にするかして、自衛官を一箇所に集合させ、私が直接彼等に決起を促す。呼応する自衛官がいれば彼等と国会を占拠し、憲法改正を決議させる。どうだ?」  
 三人は考え込んだ。必勝が疑問を呈す。
「弾薬庫を奪取するにしても、場所が分からない。それに弾薬庫の奪取と総監を人質にとるのを同時決行するのであれば、人員が分散され、四人では足りなくなる」
「かといってこれ以上人を増やせば、隠密裡に行動できないぜ」
 小川が口頭を尖(とが)らせた。
「うむ」
 四人は有らん限りのアイディアを、捻出し合った。結局、
「同時決行は無理だ」
 という結論となり、より容易な東部方面総監人質策が採られたのである。
「では、どうやって総監を人質に取るか」
 という議論になった。
「十一月の結成二周年記念パレードの時、総監を招待して観閲して貰う。その際拘束するというのはどうか」
 公威の口から初めて、十一月という期日が出た。

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