AVENTURE -君の名前を教えて-
屋台をゆっくりと見てまわる。
食べ物にアクセサリー。
なんの食べ物なのか、なんの石でできているのか。どうやって作っているのか。

日本では見たことのないものがたくさんあって、本当に見ているだけでも十分楽しかった。

と、不意に日本でも時々見かける光景に、思わず足を止めた。

「あら。男難の相が出てるわね」

明らかに見た目は男なのだが、おネエ口調で聞いてくる目の前の人物の言葉に、私は苦笑いを浮かべた。

「思い当たる節があるみたいね」

露店にまじってポツンと人が座っていた。日本の路上でも、易者や手相占いなんかで同じように座っている人を見かけたことがあったのだが、どうやらこの人もその類の人らしい。

「安心しなさい。この旅行で出会いがあるから」

入って突然、男難の相が出ていると言われたかと思ったら、今度は出会いがあると言う。


…あながち、外れてないっちゃ外れてないないんだけどね。



男難は既に、出発直前に発生した。
出会いも、空港でのアレも、出会いと言えなくはない。

…名前も何も知らないけど。


「あら、いまいち信じてないのね」

にっこりと笑うお兄さん。えっ?と声をあげた時だった。

「そうね、今から10数えたら深呼吸をして、躍りの広場に行きなさい。ここからさらに先に進んだところよ」

言葉の意味がわからず首を傾けると、楽しげにお兄さんは笑った。

「騙されたと思ってやってごらんなさい」

そう言うと、私のそばにやって来て、くるりと向きを変え、カウントダウンを始めた。




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