AVENTURE -君の名前を教えて-
「国も、時代も!いつだって、それを作るのは人であって、家柄じゃないはずです!!」

心臓がバクバクと大きな音を立てている。
自分の言っていることはただのきれいごとで、それだけで世の中が動かせるほど、甘いもんじゃないってことくらいわかってる。

それでも。
そのきれいごとは決して、無視していいものじゃないと、そう、思いたい。

「りっぱな家柄が、国民を豊かにしてくれるんですか!?りっぱな王族の血筋が、正しい政治を行えるんですか!?」

そう言い放ったときだった。

「お母様」

ぽん、と誰かが私の肩を叩いた。
私の横に、いつの間にか一人の男性が立っていた。


あれ?この人、確か…


「彼女の言ったこと、あなたがわからないはずはないですよね?たとえ立派な家柄があったとしても、たとえ王族の血筋を引いていたとしても。人を愛する気持ちを持たないものが国を動かせば、国民はいつかついてこれなくなる。そう、私に教えてくれたのは、お母様…あなたですよ」

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