AVENTURE -君の名前を教えて-
「結局、あいつなんだったんだよ」

ぶちぶちと文句を言いながら、マスターが入れてくれたお酒を飲むアヤを見て、私はくすくすと笑った。

「いいじゃん、アレはあれで楽しかったし」

あの後、店員さん2人も連れて、5人で夕食を食べた。
結局、小さいころのアヤの笑い話なんかを暴露される形で、アヤはお店を出た後、この後はついてくるな!と叫んで、私を連れて3人から逃げたのだ。

「よくない。せっかく、今日は一日、ゆっくりお前と二人きりで過ごせるとおもってたのに」

ぶつぶつと文句を言うアヤに、私は頭を軽く撫でた。

「ありがと、アヤ。今日はほんとに楽しかったよ」

「…似合ってる」

じっとアヤが見つめてくる。
気恥ずかしくて、少し視線をそらしながら、ありがとう、と答えた。

「ま、俺の見立てだからな。似合うに決まってる」

そう言うと、こめかみに軽く、キスをしてきた。

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