AVENTURE -君の名前を教えて-
「俺はお前だから、あのバーに連れて行ったんだ」

あの後、アヤは一言も喋らなくなった。
私も、口を開いてはいけないような気がして、何も喋れなかった。

お酒を飲み終えると、そのまままた、私の泊まっているホテルへと、一緒に戻った。

アヤがどこからか調達してきたお酒を、コップに軽く注ぐと、それを私に手渡し、隣に座った。

「お前を話をしたのは、確かにあの日が初日だった。だが、あの店に連れて行ったのは、お前だからなんだ」

真剣なアヤの表情に、私は目をそらすことが出来なかった。

「お前は信じないかも知れないが…あの日、あの時、あそこでお前に再会できたのは、運命だと思っている」

そう言うと、顔を近づけてきて、そのままキスをした。

「信じなくてもいい。ただ、俺があそこへ連れて行ったのは、お前だからだと。俺にとって、お前は特別な存在なんだってことだけは、信じてほしい」

アヤはそう呟くと、また、優しくキスをした。

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